ゴイアニア~フォタレザ 2千キロの旅 第6話 | ブラジル発 セクシー&キュートな洋服屋の生活裏話 (格安ネットショップもオープン ダンスファッション サルサ ナイトクラブに!)

ゴイアニア~フォタレザ 2千キロの旅 第6話

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ブラジル独特のマイクロちっちゃいビキニに身を包み、海になんか浸かるのは10年ぶりくらいのわたしは、恐る恐る波打ち際に近寄って行った。まずは、変なものが浮いたりしていないか確認しておきたかった。


モホブランコの海水は透明よりも透明に透き通っていて、日本の海岸のように海草が打ち寄せてもいなかった。砂浜も砂の粒子が小さく、歩くと「キュッ キュッ」と音がするのが小気味良かった。


そっと手を海水に浸すとヒンヤリと冷たかったが、それ以上に日差しは肌を刺すように強かったから心地よい冷たさに感じることができた。


彼は既に肩くらいの深さのところに行ってしまい早く来いと言っている。わたしもそれに続いて一気に全身を海水に浸した。周囲には子供達が浮き輪で「きゃーきゃー」いいながらぷかぷか浮いていた。


わたしも足が届くか届かないくらいの所まで行って、子供達に混じって波遊びを始めた。日本の海ではありえない大波が定期的にやってくるから、それを頭からかぶらないように波に合わせてジャンプするという単調な動作がなかなか面白い。


とはいえ、全身運動で波遊びもそう長くは続かず、まだ海の中に浸っていたいという彼を残して先にビーチへ上がることにした。


波遊びがたたって、少しヨロヨロしながら浅瀬に辿り付き、もう一歩で砂浜と言う時にいきなりそれは起こった。


引き潮に飲まれてしまったのだ!


人間は経験の積み重ねで力の入れ具合を調節するようになる生き物だ。例えば、卵を割るのに満身の力を込めると卵はぐっちゃりと壊れてしまうだろう。ケーキにフォークを突き刺す力加減はステーキに突き刺すそれとは当然違う。経験上とっさに力具合を加減できるようになっているのだ。

そして、その経験が日本に打ち寄せては引くさざなみしか知らなかったわたしには自然にゆったりとした足の運びをもたらしてしまった。。。


しっかり踏ん張っていなかったわたしの足はブラジルの力強い引き潮に一気に掬われてしまった。

あまりに一瞬のことでなにがなんだか分からないままに、浅瀬ででんぐり返りを2回転ほどして、体がめちゃくちゃになりそうなのを


「マズイ。。。ホントに大変な怪我をするかも?!」


とグルグル波にもてあそばれながら全身の力を振り絞ってその波から逃れた。


そして、次の引き潮が来る前に急いで砂浜に上がったわたしの髪はぐちゃぐちゃで、両耳に水が入って「グワングワン」といっている。取り敢えず、マイクロちっちゃい水着がはだけてなかったのだけは幸運だったかも(笑)


実際波に飲まれたのはほんの数秒だったけれど、わたしにはとっても長い時間のように感じた。けれど、実際はそれが一瞬だったという事を証明しているかのように、誰もわたしには気を止めていなかった。


モホブランコのビーチは観光化はあんまり進んでいなくても、海の家のような所が数軒あって、飲み物や簡単な料理をサーブしてくれるカルソンもいた。海に出ない彼の姉が赤ちゃんと一緒に場所をキープしてくれていたので、疲れると休憩に戻り、気が向くと海に出るのを繰り返しつつビーチでの初日を楽しんだ。


つづく